消化器外科
外科系包括治療センター
消化器外科
診療内容
日本外科学会、日本消化器外科学会の両方の専門医資格を持つ医師が、消化器・総合外科分野の診療を行っています。当院各科の専門医と科を超えて緊密に連携し、専門性が高く、同時に幅広い外科診療を行っています。総合的がん医療を提供する使命のもと、がんに対する根治的切除に加えて化学療法や放射線治療、緩和的手術にも対応しています。
1. 外来治療
外来における小外傷等の治療をはじめ、外来手術による皮膚・皮下腫瘍の摘出、リンパ節生検等を行っております。また、高カロリーの点滴や抗癌剤の投与時に必要な中心静脈ポートの造設術も外来手術で対応可能で、他院からも多くの紹介を受けております。
2. ヘルニア治療
鼠径ヘルニアは一般に“脱腸”と呼ばれ、その名の通り脚の付け根の脆弱部(ヘルニア門)から腸が皮下に飛び出してくる疾患です。若年者と高齢者に多い特徴があり、治療には手術が必要で、脆弱部にメッシュと呼ばれる補強材を当てます。当院では鼠径部を直接切開する直達手術と腹腔鏡手術の両方に対応しております。また、へそに発生する臍ヘルニアや手術の傷跡に発生する腹壁瘢痕ヘルニアの治療も行っております。
3. 肛門疾患治療
“痔”に代表される肛門疾患は非常に多い病気で、多くの方が症状を抱えています。当院では外来に最新の肛門鏡を設置し、肛門の状態を電子カルテで患者様と一緒に確認することが出来ます。一般に“いぼ痔”と呼ばれる内痔核や、“あな痔”と呼ばれる痔瘻、肛門周囲膿瘍が手術治療の主な対象となります。内痔核については切除手術だけではなく、病状によりジオンという注射で治す方法にも対応しています。
4. 消化器良性疾患治療
胆嚢疾患(胆石症、胆嚢炎、良性胆嚢ポリープ)、虫垂炎、大腸憩室症等の治療を行っています。胆石症や虫垂炎は、積極的に腹腔鏡手術を試み、早期の退院を目指しています。また、胆嚢炎や虫垂炎の病状によっては、一度抗生物質で炎症を抑えて安定させてから待機的に手術をすることもあります。胆嚢炎や虫垂炎は強い腹痛や発熱を伴い、救急疾患となる場合も多くありますが、当院は道内で3施設しかない(2020年4月時点)日本腹部救急医学会認定施設となっており、専門医が診療にあたります。
5. 消化器がん治療
大腸がんや胃がんを中心に、開腹手術のみならず傷が小さくて済む腹腔鏡手術や化学療法にも対応しております。治療が難しい難治性がんとされる膵臓がん、肝臓がん、胆道がん、神経内分泌腫瘍については、札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科講座、同腫瘍内科学講座と緊密に連携し、日本膵臓学会認定指導医が治療に対応致します。
わが国の社会、疾患状況の変化に伴い、高齢でがんに罹患する方が増えています。高齢の方は、がんの手術治療後にリハビリテーションを必要とすることもあり、当院では入院期間を限定していません。退院後に訪問診療や訪問看護が必要となる場合は、当院のスタッフだけではなく地域の医療機関にも参加していただく退院時合同カンファレンスを開催し、安心して退院後の生活を送られるように配慮しております。
また、消化器がん治療では一時的、永久的人工肛門(ストマ)が必要となることがあります。当院には皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)が常勤し、人工肛門に関わる診療や相談に対応しています。
6. 緩和的治療
当院は「医療の本質はやさしさにある」を理念とし、開院以来がんに対する緩和医療、ホスピス・ケアに全力で取り組み、世界的な専門施設の1つとなっています。総合的がん医療を提供する使命のもと、根治的切除だけではなく、がんの症状緩和を目的とした消化管バイパス手術や人工肛門造設術等の緩和的手術に対しても、緩和ケアの専門医と緊密に連携して積極的に対応しております。
スタッフ
センター長 | 長谷川 格 | 日本外科学会 外科専門医・指導医 日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医 日本消化器外科学会 消化器外科認定医 日本内視鏡外科学会 技術認定医 日本臨床栄養代謝学会 認定医 |
科長 | 信岡 隆幸 (副院長) |
日本外科学会専門医・指導医 日本消化器病学会専門医・指導医 日本消化器外科学会専門医・指導医 日本臨床栄養代謝学会認定医・指導医 日本内視鏡外科学会技術認定医 インフェクションコントロールドクター 日本ロボット外科学会 Robo-Doc-Pilot(国内B級) 日本内視鏡外科学会 ロボット支援手術プロクター 日本食道学会 食道科認定医 日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医 |
久慈 麻里子 | 日本外科学会 外科専門医 日本消化器外科学会 消化器外科専門医 日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 検診マンモグラフィ読影認定医 日本消化器外科学会指導医 |
診療実績
2018年 | 2019年 | 2020年 | ||
---|---|---|---|---|
胃癌・胃腫瘍手術 | ||||
胃全摘術 | 腹腔鏡下 | 1 | 1 | 0 |
開腹 | 3 | 2 | 0 | |
胃部分切除術 | 1 | 1 | 2 | |
(合計) | 5 | 4 | 2 | |
大腸癌・大腸腫瘍手術 | ||||
回盲部切除術 | 腹腔鏡下 | 1 | 0 | 0 |
結腸部分切除術 | 腹腔鏡下 | 3 | 3 | 4 |
開腹 | 1 | 2 | 0 | |
結腸半側切除術 | 腹腔鏡下 | 0 | 1 | 1 |
開腹 | 0 | 1 | 0 | |
直腸前方切除術 | 腹腔鏡下 | 0 | 1 | 0 |
開腹 | 5 | 4 | 0 | |
経肛門的直腸腫瘍切除術 | 1 | 0 | 0 | |
(合計) | 11 | 12 | 5 | |
虫垂切除術 | 腹腔鏡下 | 13 | 9 | 4 |
開腹 | 0 | 0 | 0 | |
胆嚢摘出術 | 腹腔鏡下 | 17 | 20 | 12 |
開腹 | 0 | 0 | 0 | |
鼠径ヘルニア根治術 | 腹腔鏡下 | 4 | 8 | 8 |
直達法 | 16 | 11 | 3 | |
肛門手術 | ||||
痔核手術 | 結紮切除術 | 8 | 10 | 0 |
注射療法 | 2 | 1 | 0 | |
痔瘻手術 | 5 | 2 | 1 | |
その他 | 9 | 2 | 5 | |
(合計) | 24 | 15 | 6 | |
その他の手術 | ||||
人工肛門造設術 | 5 | 7 | 8 | |
中心静脈ポート造設術 | 68 | 78 | 60 | |
リンパ節生検 | 6 | 4 | 2 | |
皮膚・皮下腫瘍切除術 | 19 | 15 | 1 | |
(合計) | 98 | 104 | 71 |
疾患別 | 初診 | 再診 |
消化器の悪性新生物 | 3 | 670 |
腸のその他の疾患 | 3 | 103 |
胆のう<嚢>,胆管及び膵の障害 | 2 | 65 |
ヘルニア | 10 | 48 |
食道,胃及び十二指腸の疾患 | 0 | 43 |
性状不詳又は不明の新生物 | 1 | 26 |
虫垂の疾患 | 1 | 17 |
肝疾患 | 0 | 8 |
腹膜の疾患 | 0 | 6 |
消化器系及び腹部に関する症状及び徴候 | 2 | 5 |
消化器系のその他の先天奇形 | 0 | 3 |
非感染性腸炎及び非感染性大腸炎 | 0 | 3 |
消化器系のその他の疾患 | 0 | 1 |
合計 | 22 | 998 |
疾患別 | 入院 | 退院 |
消化器の悪性新生物 | 93 | 91 |
腸のその他の疾患 | 18 | 19 |
胆のう<嚢>,胆管及び膵の障害 | 18 | 20 |
ヘルニア | 13 | 13 |
腹膜の疾患 | 1 | 2 |
口腔,唾液腺及び顎の疾患 | 0 | 1 |
合計 | 151 | 156 |