理念と基本方針

理念と基本方針

東札幌病院の理念

【医療の本質はやさしさにある】

この実践がもっともよく遂行される形態が緩和医療であり、ホスピスはその象徴である

東札幌病院の基本方針

  1. 東札幌病院は、創立からの理念にもとづき、患者さんのクオリティ・オブ・ライフ(QOL:日々の生活の質、生命の質)を尊重した医療を提供します。
  2. 東札幌病院は、各専門職が、患者さんとそのご家族に、チームで医療を提供します。
  3. 東札幌病院は、根治的医療から終末期医療までの、総合的がん医療を提供します。
  4. 東札幌病院は、施設から在宅まで、総合的な医療を提供します。

東札幌病院は、「医療の本質はやさしさにある」という理念のもと、地域社会の一員として人々の健康増進から予防、診断、治療、リハビリテーションまで一貫した総合的医療に取り組んでいます。

患者さんの生活に対する価値観や生き甲斐など、生活や人生の質的な面に重点をおき、「もっともその人らしい」生活となることを尊重した医療と看護を行っています。これは、QOL(Quality of Life「クオリティ・オブ・ライフ」=生活・生命の質)尊重の考え方として、ホスピス・ケアに象徴されるものです。

東札幌病院は、このようなホスピス・ケアの実践を、患者さんとの対話やご家族へのケアサポートなどチーム医療により行っています。

さまざまに組み合わされたケアチーム・アプローチの実践

患者さんやご家族が共に良い状態を保つためには、さまざまに組み合わされたケアが必要となってきます。東札幌病院では、医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、栄養士、薬剤師、検査技師、ボランティアなど、各専門分野のスタッフで構成されるチームによって、患者さん一人ひとりのさまざまな問題をきめ細かく検討し問題解決にあたっています。

医療とこころの両面から支えていくパリアティブ・ケア(緩和ケア)

道内で初めて厚生省(当時)のパリアティブ・ケア(緩和ケア)病棟の承認を受け(平成5年9月)、末期がん患者さんのホスピス・ケアにも全力を尽くしています。 緩和ケア病棟は、苦痛症状のコントロールをもっとも優先しながら、トータルな治療を行うものです。 東札幌病院では、チーム・アプローチにより、身体的な苦痛症状をやわらげるとともに、患者さんやご家族の精神的な痛み、また社会的な痛みや経済的な痛みなど、さまざまな痛みを緩和する医療を行っています。

患者さんの権利とお願い

東札幌病院は皆様に次のような権利があることを認め尊重致します

  1. 医療を受けるにあたって、大切な一人の人間として尊重されます。
  2. 受診される方の個人情報やプライバシーが守られます。
  3. 病状や病名・検査結果、受ける処置やケアの内容等について十分な説明を受けられます。
  4. 適切な説明のもとに受診される方の意志が尊重され、最良の治療やケアが選択できるように支援されます。
  5. 身体的なことだけではなく、必要に応じて社会的・心理的な事柄に関しても支援されます。
  6. 療養の経過すべてにわたって、ご希望されれば複数の医師の意見を求めることができます。
  7. 最善で安全な医療と必要な健康教育を受けることができます。
  8. 医学研究等に参加をお願いすることがありますが、拒否することによって不利益を被ることはありません。

東札幌病院を受診される皆様に御協力いただきたいこと

  1. 心身の健康に関する情報について担当者にお伝えください。
  2. 医療者の説明が不十分な時には、十分理解できるまで質問してください。
  3. 治療やケアの方針を決める時には、ご遠慮なく医療者と話し合ってください。
  4. 医療者と共につくった治療やケアの計画に積極的に参加してください。
  5. 院内では常識的な社会人として行動してくださるようお願いいたします。
  6. 東札幌病院は全館禁煙です。ご理解とご協力をお願いいたします。
  7. 東札幌病院では各階に提案箱を設置しております。ご意見やご要望がありましたらご遠慮なくご利用ください。

職業倫理指針

指 針

  1. 職員は、最善・最良の医療の提供をもって、公共社会に貢献する。
  2. 職員は、常に技術の向上と医療に係る知識の修得に励み、医療水準の向上に努める。
  3. 職員は、自らの責任と義務を自覚して自己啓発に努め、職員としての誇りを持って行動する。
  4. 職員は、相互の信頼と理解をもって、協力し合い、チームアプローチによる医療に積極的に参画し、医療連携を推進する。
  5. 職員は、守秘義務を遵守し、個人情報を保護する。

東札幌病院では、職員自らが、上記指針を基盤とする “使命感と行動の原点五つの誓い”を作成し、これを毎月全員で唱和する機会をもつなど、長年にわたりその徹底に取り組んでおります。

使命感

「チームアプローチを基盤とし、ホスピスケアの総合医療を創造する東札幌病院」

行動の原点五つの誓い

  1. 私達は相互の信頼と理解をもつて健全なる精神で患者さんに接する事を誓います。
  2. 私達は常に整理・整頓をし、清潔で明るい環境づくりをすることを誓います。
  3. 私達は院内の円滑化を計るために互いに協力しあい相互の信用を持つことを誓います。
  4. 私達は職員としての誇りを持ち、基盤に則った精神で行動することを誓います。
  5. 私達は常に技術の向上と勉学に励み、積極的な行動をする事を誓います。

臨床倫理指針

指針

医療法人東札幌病院で行なわれるすべての医療・福祉に関わる行為について、

  1. 倫理的配慮をはかることをもって、その質を高める。
  2. 「医療の本質はやさしさにある」という理念のもと、人間関係やコミュニケーションを大切にすることを基盤に医療をすすめる。

臨床倫理の原則

1.患者さんを人間として尊重する。

  1. 権利の尊重
  2. 人格・信仰・意思の尊重
  3. 共同しての医療の実施(説明と同意による自己決定の尊重)
  4. 常に相手の傍らにあり、寄り添う医療とケア

2.最大・最善の医療利益の提供

  1. QOLを高く、余命を長く。(一般的価値観の尊重)
  2. 人生の充実を妨げない。(個人的価値観の尊重)

3.社会的視点での正義実現

  1. 公正かつ公平な医療の提供(第三者に対して不公平にならない)
  2. 各種委員会における審議結果に基づいた医療の提供
  3. プライバシーの尊重、守秘義務の順守、個人情報の保護
  4. 社会的資源の活用
  • 事例検討の積み重ねによる倫理的な組織文化の醸成
  • 多職種の参加による「医の倫理セミナー」「臨床倫理検討シートを使用した事例検討」
  • 「合同カンファレンス」などでの事例検討

倫理的な問題や課題に気づき、どのように対処したらよいか、あるいはどのように対処すべきかを考えて倫理的行動力を高める。

インフォームド・コンセント

インフォームド・コンセント(informed consent)とは、「説明と同意」と訳されますが、患者・家族が病状や治療について十分に説明を受け、その内容を理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意する過程をいいます。

現代の医療はすべてインフォームド・コンセントに基づいて行われており、東札幌病院では、臨床倫理委員会がそのガイドラインを定め、これを遵守しております。

東札幌病院 インフォームド・コンセント ガイドライン(PDF)

がん終末期患者の尊厳を守るための治療とケア

がん終末期患者さんに対する医療を提供する場合、苦痛が緩和され、QOLの維持向上を目指すことが基本姿勢となります。しかし、苦痛・苦悩が緩和されなければ、がん終末期患者の尊厳が損なわれる可能性があり、当院では「がん終末期患者の尊厳を守るための治療とケアに関するガイドライン~苦痛・苦悩の緩和が困難な場合~」を定め、これを遵守しております。

東札幌病院 がん終末期患者の尊厳を守るための治療とケアに関するガイドライン~苦痛・苦悩の緩和が困難な場合~ (PDF)

また、疾患の終末期ないしは終末期に近づいている状態において、心停止ないし呼吸停止した場合、成功する見込みが少ない、あるいは成功したとしても患者に益をもたらさないと見込まれるような状況も生じます。こうした場合、心肺蘇生術《心臓マッサージ(胸部又は胸骨の圧迫)・人工呼吸など》を試みずに、安らかな最期となるように看取ることも選択肢の一つとなってきます。東札幌病院では、患者さんの尊厳を守り、自己決定権、自律の原則を尊重するために、“がんの終末期に心肺蘇生を試みない看取り(DNR)”に関わるガイドラインを定め、医療チーム内の合意形成、患者・家族と医療チームとの合意形成の検討プロセスを明確にし、これに基づいて対応を行っております。

東札幌病院 がんの終末期に心肺蘇生を試みないこと(DNR )ガイドライン(PDF)

東札幌病院 苦痛・苦悩の緩和が困難な場合の検討プロセス確認用紙 (PDF)

東札幌病院 がんの終末期に心肺蘇生を試みないこと(DNR)確認用紙 (PDF)